私が倹約を尊ぶのは、その後に活用することがあるからである。住居を簡素にし、服や食を粗末にするのは、資本を作り、国を富ませ、万人を救済するためである。目的があるのが倹約である。

人物:二宮尊徳(にのみやたかのり)

1787-1856年。江戸後期の農政家。少年期に父母を失い、伯父の家を手伝いながら学業に励み、没落した一家を再興。その後、小田原藩士服部家の再建や同藩領下野国桜町領の農村復興に成功した。これらの経験をもとに、報徳仕法とよばれる独自の農村改良策をもって諸藩・諸村を再建。徹底した実践主義者で、その思想は報徳社運動として受け継がれた。