船に乗っても、もう波が出やしないか、嵐になりゃしないか、それとも、この船が沈没しやしないかと、船のことばかり考えていたら、船旅の愉快さは何もなかろうじゃないか。人生もまたしかりだよ。

人物:中村天風(なかむらてんぷう)

1876-1968年。東京の生まれ。福岡の修猷館に入学するが、喧嘩で相手を刺殺して退学となり、玄洋社の頭山満のもとに預けられる。日清日露戦争の際は軍事探偵として活動。戦後は結核にかかり、ニューソート作家の著作に感銘を受けて渡米。世界を遍歴し、インドでのヨーガ修行を経て健康を回復。帰国後は実業界で活躍。天風会の創立者。