男というものは、少々陰険に見えても、根性はあくまでもお人よしにできているものだ。そして、女というものは、表面何も知らないねんねえのようであっても、心の底には生まれつきの陰険が巣くっているものだ。

人物:江戸川乱歩(えどがわらんぽ)

1894-1965年。三重県生まれ。本名は平井太郎。早大卒業後に十数種の職業につき、1923年に『二銭銅貨』で作家デビュー。『心理試験』『屋根裏の散歩者』『人間椅子』『赤い部屋』『パノラマ島奇譚』などで本格的推理小説、怪奇幻想小説を開拓した。1947年、日本推理作家協会の前身である「探偵作家クラブ」の初代会長となる。1954年に「江戸川乱歩賞」を創設。