はなしたいこと、はなせないもの。【脚本】

放課後の教室。
一人残って学級日誌を書いているユウ。
教室の扉が開く音。
シュウヘイが教室に入ってくる。

シュウヘイ:(大きなため息をつく)
ユウ:なに?どうかしたの?
シュウヘイ:あれ、ユウ?まだいたの?
ユウ:いちゃいけない?邪魔なら場所変えるけど・・・。

席を立つユウ。

シュウヘイ:邪魔じゃない!邪魔じゃないから・・・いてくれないか?
ユウ:・・・いるだけでいいの?どうせなんか聞いてほしいことでもあるんでしょ?
シュウヘイ:・・・流石だな。やっぱすごいわ、お前。
ユウ:べつに。幼稚園からずっと一緒にいて見てれば、それくらいわかるでしょ。
シュウヘイ:へー・・・そーゆーもんか。でも俺、お前のこと何にもわっかんないけどな(笑)
ユウ:それはあんたがバカでマヌケでデリカシーの欠片もないからでしょ。
シュウヘイ:そ、そこまで言う~・・・。
ユウ:そんなことより、話すなら早くして。私も暇じゃないの。
シュウヘイ:お前今なにやってんの?
ユウ:先輩にフラれたんでしょ!・聞いてあげるから早く話しなよ。
シュウヘイ:ズバッと言うなぁ・・・。
ユウ:・・・あんたが言わないからでしょ。
シュウヘイ:・・・そうだな。

窓を見るシュウヘイ。
雪が降り始める。

シュウヘイ:・・・あ、雪。
ユウ:・・・ホントだ。
シュウヘイ:やべぇな。・・・傘忘れた。
ユウ:じゃあ、もう帰ったら。あんたの家なら今帰れば傘いらないでしょ。
シュウヘイ:・・・話は?
ユウ:話さないから聞いてほしくないのかと思ってた。

教室の扉が開く音。
ヤスタカとレイナがやってくる。

ヤスタカ:うー・・・さみぃ~!
レイナ:あ、ユウにシュウヘイじゃん!なに?どうしたの?もしかして・・・告白タイム中!?
ヤスタカ:うわマジか!?俺ら邪魔じゃん!?
レイナ:なんでなんで?もう告った後かもしんないじゃん!
ヤスタカ:バッカ!これから告るトコかもしんねーじゃん!
レイナ:でもカンケーないじゃん!人がいたって愛さえあれば告れるでしょ!
ヤスタカ:レイナ、お前バカか!こーゆーのはムードが大事だろーが!邪魔もんいたらムードもくそもねーだろ?
レイナ:そう?
ヤスタカ:そーだよ!俺、告るときに邪魔な奴いたらゼッテー半殺しから全殺しにしてっからよぉ!
レイナ:私は・・・他の誰がいたって、ヤスタカのこと好きって言えるよ。
ヤスタカ:レイナ・・・。
レイナ:ヤスタカの愛の大きさは、私の愛の大きさよりも小さいの?
ヤスタカ:バッカ!んなわけあるかぁ~!俺もいつでもどこでもどんな時でも24時間レイナが好きって言えるぜ!俺に任せとけ!
レイナ:もう・・・ヤスタカ、恥ずかしいよ・・・!
ヤスタカ:レイナ・・・。
レイナ:ヤスタカ・・・。

見つめ合う二人。

シュウヘイ:あ、あのさヤスタカ・・・。
ヤスタカ:俺らのことは気にすんな!俺らは俺らでよろしくやっとくからよ!お前らはお前らでよろしくやってくれ!
シュウヘイ:いや・・・そうじゃなくて・・・。
ユウ:ごめんレイナ、よそでやってもらえる?
レイナ:わかったユウちゃん!ヤスタカ、お邪魔みたいだから場所変えよ?
ヤスタカ:おう!じゃ、またなお二人さん!熱くなりすぎて・・・風邪、引くなよ。

教室から出ていく二人。

ユウ:はっきり言わないからよ。
シュウヘイ:え?
ユウ:ちゃんと邪魔なら邪魔ってはっきり言わないと。
シュウヘイ:あ!そっちの事な。そ、そーだよな!ハッキリ言わないとダメだよなぁ~。
ユウ:・・・ふ~ん。
シュウヘイ:な、なんだよ?
ユウ:はっきり言わないからキモいって言われてフラれたのかなって。
シュウヘイ:そこまで言われてないわ!
ユウ:いいから話すなら早く話してよ。もう学級日誌書いちゃったし、これ先生に渡して早く帰りたいんだけど。
シュウヘイ:ご、ごめん!・・・って、あれ?
ユウ:・・・何。
シュウヘイ:帰る?
ユウ:・・・帰るよ。
シュウヘイ:お前・・・部活は?
ユウ:・・・なんでそういうことは気が付くかな・・・。
シュウヘイ:部活でなんかあったのか?
ユウ:・・・何もないよ。
シュウヘイ:何もないわけないだろ!あんなに毎日頑張ってんのにさ!なんかあったなら教えてくれよ!俺だってお前の役に・・・!
ユウ:何でもないって言ってるじゃん!

教室の扉が開く音。
コウタとヨシミツがしまった・・・という表情で固まっている。

ユウ:・・・何見てんの?
コウタ:・・・見ては・・・ないです・・・なぁ?
ヨシミツ:う・・・うん・・・・そう!
ユウ:・・・入ったら?教室。
コウタ:い、いや・・・別に・・・大丈夫だから・・・なぁ!
ヨシミツ:そ、そうだな!別に大丈夫だな!うん!
ユウ:何が大丈夫なわけ?・用もないのにあんたたちは教室の扉を開けるの・・・?
コウタ:そんなわけないじゃん!そんなわけ!なぁ!
ヨシミツ:ある!大事な用が!あーそうだそうだ!とっても大事な用があったあった!
ユウ:じゃあ、さっさと入ったら。

教室を出ようとするユウ。

シュウヘイ:待てよ!どこ行くんだよ・・・?
ユウ:・・・日誌、先生に出さなきゃいけないでしょ。

教室を出ていくユウ。

ヨシミツ:・・・ビビった~。殺されるかと思った・・・。
コウタ:殺されるは言い過ぎやろ~・。
ヨシミツ:いや、アレは人を殺す奴の目だね、俺にはわかる・・・。

ヨシミツの胸ぐらを掴むシュウヘイ。

コウタ:よっちゃん!
ヨシミツ:な、なんだよ・・・。
シュウヘイ:取り消せよ・・・!
ヨシミツ:へ?
シュウヘイ:アイツが人殺すとか!そんなことするわけねーだろ!取り消せよ!
ヨシミツ:な、なに熱くなってんだよ・・・。冗談に決まってんじゃん。・・・な!
コウタ:そーだよ!ユウが人殺すとか本気で思ってるわけねぇって。
シュウヘイ:冗談でも言っていいことと悪いことがあるだろ!
ヨシミツ:そ、そうだよな・・・・。わ、わるかった・・・悪かったよ。

手を放すシュウヘイ。
教室の扉が開く音。
ミカとユズキが入ってくる。

ミカ:ちょ、シューヘー、マジうるさい!キモい!
ユズキ:みかちゃん、それはいいすぎだよぅ・・・。
ミカ:しょーがねーじゃん、キモいもんはキモいんだから!ムリ!
ユズキ:ごめんね、しゅうへいくん。
シュウヘイ:・・・。
ミカ:でー?なに騒いでんのー?ケンカー?
ヨシミツ:そんなんじゃねぇよ。ただよ、いきなりシュウヘイがキレて・・・。
コウタ:よっちゃん!そんな言い方したら・・・!
ヨシミツ:やば・・・!
ミカ:なに?パイセンにフラれて八つ当たり?マジキモっ!
ユズキ:みかちゃん!
コウタ:え?
ヨシミツ:お前、カナ先輩に告ったの!?
コウタ:マジで?
シュウヘイ:・・・悪いかよ・・・。
ヨシミツ:・・・フラれたのか・・・?
コウタ:よ、よっちゃん、それ聞く!?
シュウヘイ:・・・悪いかよ!
ヨシミツ:そ、それは・・・つ、辛かったな。うん!わかる!わかるぞ!カナ先輩、高嶺の花だからな!俺も何度告って何度フラれた・・・。
コウタ:よっちゃん!いい加減空気読めって!
ヨシミツ:??お、俺はシュウヘイを励まそうと・・・!
ミカ:コータ、そのキモいの連れて出ってて。
ヨシミツ:き、キモい!?俺のどこがキモ・・・!
ミカ:コータ!
コウタ:よっちゃん、とりあえず行こう!
ヨシミツ:な、何をする!俺は友達として!シュウヘイを・・・!
ミカ:コータ!
コウタ:いいから行くよ!

ヨシミツを連れて教室から出ていくコウタ。

ミカ:・・・キモっ。
ユズキ:・・・みかちゃん・・・。
ミカ:あたし、めんどくさいのパスだから、ユズがあとやんなよー。
ユズキ:うん。ありがとね、みかちゃん。
ミカ:そーゆーのキモいからいいって。

教室を出ていくミカ。

ユズキ:・・・しゅうへいくん、ゆうちゃんは?
シュウヘイ:・・・学級日誌。先生にって。
ユズキ:そっか・・・。

シュウヘイの近くに座るユズキ。

ユズキ:ごめんね。きょうのこと、じつはわたし、しってたんだ。
シュウヘイ:え・・・?
ユズキ:かなおねぇちゃんに、しゅうへいくんのこといろいろきかれて・・・。
シュウヘイ:・・・そういうこと。
ユズキ:・・・だからね・・・けっかのことも、しってるんだ。
シュウヘイ:・・・そう。
ユズキ:・・・どう、おもってるの・・・?
シュウヘイ:・・・バカだなって・・・思ってる。なんで・・・こんなこと気付いてなかったんだろうって。
ユズキ:おねぇちゃん・・・すごいしんぱいしてたよ。
シュウヘイ:え・・・?
ユズキ:だって、おねぇちゃん、ゆうちゃんのことだいすきだから。
シュウヘイ:・・・そっか。だからあいつ・・・今日は部活行かないって・・・。
ユズキ:どうするの・・・?
シュウヘイ:ちゃんと・・・伝える。俺の気持ちを・・・あいつに。
ユズキ:うん。・・・それがいいと思うよ。

教室の扉が開く音。
ユウが帰ってくる。

ユズキ:おかえり、ゆうちゃん。
ユウ:ユズ・・・。
ユズキ:ぶかつ、きょうやすむんだって?しゅうへいくんからきいたよ。
ユウ:・・・ごめん。
ユズキ:だいじょうぶ。おねぇちゃんにはうまいこといっとくね。
ユウ:・・・ごめん。
ユズキ:だいじょうぶ。・・・じゃあ、しゅうへいくん、あとおねがいします。
シュウヘイ:うん。
ユウ:・・・?なに?
ユズキ:それはしゅうへいくんにきいてください。じゃあ、またね。

教室から出ていくユズキ。

ユウ:・・・で?
シュウヘイ:・・・俺さ、さっき・・・カナ先輩に告って・・・フラれたんだけどさ・・・。
ユウ:けど・・・何?
シュウヘイ:そん時に、先輩に言われたんだよ。「君は、他に見てる人がいる。そして、その人も、きっと君を見てる。だから、よそ見してないでちゃんと見てあげて」・・・って。
ユウ:・・・ふぅん。
シュウヘイ:はじめはショックでさ・・・先輩が何言ってんのか全然わかんなかったんだけど・・・け
ど・・・。
ユウ:・・・けど?
シュウヘイ:教室で、お前の顔見て・・・お前の声聞いて・・・ようやく先輩の言葉の意味が分かっ
たんだ!・・・俺・・・俺は・・・ユウ!お前が・・・・!

チャイムが鳴る。

シュウヘイ:な、何でこのタイミングで・・・!

笑うユウ。

ユウ:・・・かっこわる。

カバンを持って帰ろうとするユウ。

シュウヘイ:ちょ!ユウ!どこ行くんだよ!
ユウ:どこって・・・帰るの。
シュウヘイ:俺の話は!?
ユウ:時間切れ。もうおしまい。
シュウヘイ:時間切れって・・・嘘だろ?

教室の扉を開けるユウ。
シュウヘイの方を振り返る。

ユウ:ほら、行くよ。
シュウヘイ:・・・え?
ユウ:窓。
シュウヘイ:・・・あ。

窓の外にはさっきよりも雪がたくさん降っている。

ユウ:・・・傘、持ってないんでしょ?
シュウヘイ:ユウ・・・。
ユウ:早くして!・・・・置いてくよ。
シュウヘイ:あ、ああ!今行く!

荷物を持って嬉しそうにユウの元へ向かうシュウヘイ。
表情には出さないものの、嬉しそうなユウ。

おわり。

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