切れかけの電灯

「もういいよ、出て行って!」

彼女はそう言った。
ボクが悪かったのか、彼女が悪かったのか、それはきっともうわからない。

事の次第を振り返ってみよう。
それは数日前のとある夜の事だ。
ボクはその日、友人の家で一夜を過ごしていて、その友人は彼女も良く知っているボクの幼馴染だった。
その夜、友人と飲み交わしていると彼女からLINEを通じて連絡が入る。

「明日はどこに行く?」

何でもない、いつもの連絡。
けれど、ボクは人といる時にスマートフォンを注視することを好んではいない。
それはいつも通りの事なのだが、どうやら今回はそれが非常に悪かったらしい。
次の連絡はこうだ。

「久しぶりの休日だから、あなたの好きなところに行こうよ」

そんなことを言われても好きな場所なんてパッと出てくるものでもない。
返信の難易度が高い連絡だ。
だからまた、その返事をボクは後回しにした。
引き続き幼馴染と話していると、彼が通知を知らせる点滅に気が付いた。

「いいのか?彼女だろ?」

「あぁ、いいんだ。彼女には今日キミといる事は言ってある。彼女も、ボクが人といるときに連絡をしないことはわかっているさ」

「それならいいけどさ。ちゃんと優先してやれよ?」

「彼女もボクよりアイドルを優先する事がある。お互い様だよ」

お互い様、だなんて、都合のいい言葉だ。
その言葉がは正解を指している事もあるかもしれないが、この時だけは使っていい言葉ではなかったようだ。

それから数日、ギクシャクした関係が続き、冒頭のセリフにつながる。
あーあ。本当に愛していたのに。
追い出された夜の住宅街は肌寒く、視界の端で動くのは電灯の点滅だけだった。

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