いちにち【脚本】

《上手側で、語りだけが》
語り「人間には、それぞれに時間の過ごし方があります。貴方は、いつ起きて、いつ眠りますか?どんな風に一日を過ごすか、計画していますか?突然起こったことに、笑ったり困ったり、泣いたり喜んだり。貴方の『今日』の始まりは、いつですか?」
《中央上手より、奥で、朝が》
朝「私が声をかけると、沢山の人が動き始めるわ。けど、私はその人達が頑張る姿を、見届ける事しかできないの。最近は、私に会う前に眠ってしまう人も沢山いるけれど、その人達が少しだけ心配。つらいかもしれないけれど、たまには見送ってあげたいなと、思っているわ。私は皆が大好きだけど。私をあんまり好きじゃないって人は、多いみたい。…今日は、御挨拶出来たかしら?」

《朝からまた語りへ》
語り「太陽が高く昇っていると、心が弾みます。空がどんよりとしていると、気分も少し滅入る気がするのは、何故でしょう?けれど暑すぎれば疲れてしまうし、寒すぎると外に出るのが億劫になる人は、多いと思います。気持ちのいい気温や天気も、人それぞれです。」
《中央下手寄り手前で、昼が》
昼「ほら、ちゃんと顔あげて。何俯いてるの?まだまだやらなきゃならない事、あるんじゃない?ちゃんとご飯は食べたの?適当に済ませていたら、どこかでボロが出るよ。食べ過ぎても、眠くなっちゃうんだけどさ。…まぁ、言っても無駄か。一緒に跳ねまわっていたって、だぁれも気付かないんだから。ほらほら、俯いて携帯の画面見るもよりさ、思いっきり空見上げてみなって!ね?」

《また語りへ》
語り「沢山人がいる場所で、ふと寂しい気持ちになった事はありませんか?人気のない静かな場所にいるのに、寂しさよりも何だか楽しい気分になった事はありませんか?一緒にいて、心が安らぐ人はいますか?貴方が苦手な人を好きな人もいれば、貴方の大切な人は誰かと仲が良くないかもしれません。場所にも、その時の周囲にも、持つイメージは様々なのです。」
《下手奥側に、夜が》
夜「一日の総括は、もう済んだかしら。そろそろ、その疲れをとる時間なのではない?最近は、今からが始まりだなんていう人もいるけれど、休める時は、休んでちょうだいね。…けれどまぁ、たまにはいいかしら。それまでよりは少し空気も冷たくなっている外に顔を出して、空を見上げてみて?喧騒も、困惑も、何だか少し安らぐ気がしない?…今そこから、あの優しい光は見えていれば、いいのに」

《一旦語りに戻って》
語り「貴方の始まりに多く出会ってきていて、苦手な人も多いだろうけれど、清々しさもくれるのは、朝」

朝「ねぇ起きて。ほら、目を擦りすぎないで。少し早起きな人は、これから気温も変わるから、澄んだ空気を胸に吸い込んでいくといいわ。寝坊助さんは遅刻しないでね?朝ご飯を抜くと、元気が出ないわよ。これから眠る人、本当にお疲れ様。みんなそれぞれ今日も素敵な一日が過ごせますように。」

語り「貴方と共に一日を走り抜けて、励ましながらも楽しんでいるのは、昼」

昼「まだ日も高いし、今日はまだまだこれからよ。…そんなに面倒くさそうな顔しないで、ほら、気合入れて!あともうひと踏ん張りじゃない!…これから始まる人も多いかな?折角だから、一回くらいお日様の光を浴びたら?結構気持ちがいいものよ!さ、一緒に頑張ろう!」

語り「貴方の一日の締めくくりに立ち会って、どこか気持ちを変えてくれるのが、夜」

夜「最近は、すっかり明るくなってしまって、あまり星が見えないわね。月の光は、普段は表に出ない貴方の内面を引き出すんですって。出来れば布団の中でゆっくり疲れをとって欲しいけれど、日が落ちてくると、何だか一日が終わるのが勿体ない気がするって人が、増えた気がするわ」

《語りのみ戻り。その間に三人が近づいて》
語り「朝が訪れ、昼を迎え、夜になる。そうして、毎日が過ぎていく中、貴方はどんな風に、一日を過ごしたいと思いますか?貴方は、どの時間が好きですか?きっと季節や、体調、一緒にいる人、環境で、好きな瞬間は別々でしょう。朝も昼も夜も、それは同じです」
《三人近め。少し中央下手より》
朝「やっぱり、すっきり起きて頑張るぞってしている人が好き。だって、『これから一日が始まるのが嫌だ』ってしょんぼりしている人を見ると、心配で哀しくなってしまうもの」

昼「自分の限界が解っている人が、いいに決まってる。暑くなる事も多い時間だし、動いている人はやっぱり多いから、無理をしないで楽しく時間を使ってくれていると安心する」

夜「昼夜逆転っていうけれど、夜が始まりの人がいたって、私はイイと思う。けど、眠れる時間を削って無茶をされると、見ていられない時間がもどかしくなるわ」

朝「だからね、元気にオハヨウっていう声が響くと、とても気持ちがいいわ。誰かに言うのも、何だか一日のスイッチが入る気がしない?」

昼「沢山の人と話して、笑って、仕事や学校みたいに真剣になって、色んな表情が出来る時間でしょ?あと、お日様の光を浴びると元気になるのは、花だけじゃないと思う」

夜「ちょっぴり開放的になって、だけど気持ちが研ぎ澄まされる。おやすみなさいって誰かにいうだけじゃなくて、眠る自分へのお疲れ様だと思っていいのじゃないかしら」

語り「そろそろ、日が沈みますよ」

夜「あら、もうそんな時間。それじゃあ、月と星を呼びに行かないと」

朝「ねぇ、そういえば。昼も夜もここにいたのに、今は一体なんだったの?」

昼「今は、たまに少しだけある時間。ただ、昼と、夜の境目の短いあの時間」

夜「綺麗なオレンジ色や薄い紫の空って、私から朝へ変わる時とは少し違うのよね」

朝「あぁ、なるほどね。通りで、家に帰る子どもが見えるのね」

夜「それから、あちこちから香る夕ご飯の香り。からすの声。…夕暮れ時」

昼「ほらほら急いで。もう時間」

夜「あぁいけない。それじゃあ、また後で」

朝「そうね。待っているわ」

昼「いってらっしゃい」

語り「空がまた暗い色になり、優しく淡い光が空に散らばります。そしてまたお日様が地平線の彼方から顔を出し始めると、空を白ませ始めて月や星灯りを和らげます。少しずつ青く染まる空の下で、一日が流れていきます。貴方が好きな時間は、いつですか?ふとした時、もしも覚えていらっしゃったら、ほんの少しだけ、意識して一日を過ごしてみてください。特別な時間は、貴方だけが感じられる瞬間にあります」
《おわれない》

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