九州喧嘩三国志 2

大友高校が脱落したことで、九州の覇権は島津高校と龍造寺学園の一騎打ちとなった。

第二章:沖田畷の泥仕合

龍造寺の総長「殺人熊・隆信」は、巨大な身体を揺らしながら泥まみれの田んぼ道を進んでいた。
その数、大友の残党も吸収して千人以上。

「島津のクソガキども、まとめて握り潰してやるわ!」

「隆信さん、焦りは禁物です。奴らは耳川で大友をハメている」

副総長の直茂が冷静に忠告するが、肉体もプライドも肥大化した隆信は耳を貸さない。
決戦の地は「沖田畷」。雨上がりのぬかるんだ田んぼ道と、狭いあぜ道が続く最悪の足場だった。

「チッ、動きづれえな……」

龍造寺の軍団が、狭い一本道で大渋滞を起こしたその瞬間。

「そこがテメェらの墓場だ!」

あぜ道の泥の中から、泥まみれの男たちが一斉に飛び出してきた。家久率いる伏兵だ。
足場を奪われた龍造寺の不良たちは、泥に足を取られて身動きが取れない。
そこへ、アスファルトの乾いた道を爆走してきた義弘の単車が、隆信の目の前で急ブレーキをかけた。

「よぉ、くまモン! タイマン張ろうや」

義弘が単車を降り、特攻服を脱ぎ捨てる。

「ガキがナメやがって!」

隆信が丸太のような腕を振り回し、義弘に襲いかかる。
その拳は一撃でガードレールをへし折る破壊力だったが、義弘は避けない。肉を切らせて骨を断つ――それが島津の喧嘩スタイルだ。
ボカッ! と鈍い音が響き、隆信の拳が義弘の頬を捉える。しかし、義弘はニヤリと笑った。

「効かねえなぁ……チェストォォォッ!」

義弘の脳天をぶち抜くようなヘッドバットが隆信の顔面に炸裂する。
鼻血を吹き噴きながらよろめく隆信の顎へ、渾身のアッパーカットが叩き込まれた。
巨漢の隆信が、泥水の中へと仰向けに激しく倒れ込む。

「隆信さんが……負けた……!?」

総長の敗北に、龍造寺学園の不良たちは戦意を喪失し、蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていった。
直茂は倒れた隆信を担ぎ上げ、「ここまでか……」と島津に背を向けた。